収納術 基本

家の中を見渡したとき、「いつも片づけているのに、すぐ散らかってしまう」「収納グッズは増えたのに、なぜかスッキリしない」と感じていませんか。収納術の情報は山ほどあるのに、自分の暮らしに落とし込めないまま、モノだけが増えていく——そんな悩みを抱える方は少なくありません。この記事では、単なるテクニック集ではなく、「片づけが自然と続く」収納術を、考え方と具体的な方法の両面から整理して解説します。どんな住まい・家族構成でも応用できるよう、ルールはシンプルに絞り込みました。今日から実践できるステップでお伝えしますので、ぜひご自宅を思い浮かべながら読み進めてみてください。

片づかない原因を見極める:収納術の前にやるべき3つのチェック

多くの人は「収納術=しまい方のテクニック」と考えがちですが、実はその前段階でつまずいているケースがほとんどです。どれだけおしゃれな収納グッズをそろえても、片づかない原因がそのままでは、すぐにリバウンドしてしまいます。まずは、ご自宅の「片づかない理由」を冷静に見極めることから始めましょう。

ここでは、ほとんどの人に当てはまる3つのチェックポイントに絞って解説します。紙とペン、あるいはスマホのメモを用意して、心当たりのある項目を書き出してみてください。可視化することで、どこから手をつけるべきかが明確になります。

1. 物量オーバー:収納の限界を超えていないか
収納の悩みの大半は、「収納の問題」に見えて、実は「物の持ち過ぎ」が根本原因です。クローゼット、キッチン、洗面所など、主要な場所ごとに、次のような視点でチェックしてみましょう。

・同じ種類のものが、いくつも重複していないか
・「いつか使うかも」で取ってあるものが多くないか
・奥から存在を忘れていたものが出てこないか

これらに当てはまるものが多いほど、収納のキャパシティを超えている可能性が高いです。収納術を駆使する前に、物量を現実的なラインまで落とす必要があります。

2. 動線ミスマッチ:使う場所と収納場所がズレていないか
片づけが続かない理由のひとつが、「しまうのが面倒」という心理です。これは意志の弱さではなく、収納場所と生活動線が合っていないサインといえます。次のような点を確認してみてください。

・よく使うものが、取り出しにくい場所にないか
・リビングで使うものを、別の部屋まで戻しに行く必要がないか
・子どもが自分で片づけられる高さと場所になっているか

人は、数歩の移動や、しゃがむ・背伸びをするといった「ちょっとした手間」が積み重なるだけで、行動を先延ばしにしがちです。収納場所を動線に合わせて再配置するだけで、片づけのハードルは大幅に下がります。

3. ルール不在:家族や自分の中で「置き場所」が決まっているか
「どこに戻せばいいのか分からない」状態では、どれだけ頑張っても散らかります。これは家族だけでなく、自分自身にも当てはまります。次のような「定位置」が、あいまいになっていないかチェックしましょう。

・リビングに持ち込まれる書類や郵便物の置き場所
・財布・鍵・スマホなど、毎日使う持ち物の定位置
・充電ケーブルやリモコンなど、小物類の収納場所

定位置がないものは、必ず「平らな空きスペース」に一時置きされ、そこから積み重なっていきます。収納術の第一歩は、「すべての物に住所をつくる」ことだと考えてください。

ここまでのチェックで、物量・動線・ルールのどこに課題があるか、なんとなく見えてきたのではないでしょうか。次の章からは、それぞれの課題を解決しながら、実際に部屋がスッキリしていく収納術を具体的に紹介していきます。

「減らす・決める・分ける」で整える:誰でも続く収納術の基本ステップ

片づく家をつくるには、特別なセンスや高価な収納家具は必要ありません。大切なのは、どの部屋にも共通して使えるシンプルな手順を身につけることです。ここでは、どんな空間にも応用できる「減らす・決める・分ける」の3ステップを、少し具体的に説明します。

この順番を守ることが、収納術のポイントです。いきなり「おしゃれな収納方法」を考えたくなりますが、それでは本質的な解決にはつながりません。一度基本に立ち返り、順を追って進めていきましょう。

ステップ1:減らす——“今の暮らし”に必要な量までそろえる
最初のステップは、言うまでもなく「減らす」ことです。ただし、やみくもに手放すのではなく、「今の暮らしに必要かどうか」という基準で見極めます。具体的には、次のような問いを自分に投げかけてみてください。

・ここ1年以内に使ったか
・なくなったら、すぐに買い直したいと思うか
・今の自分の生活スタイルに合っているか

この3つのうち、ひとつも当てはまらないものは、「いつか使うかも」という理由で残しているだけの可能性が高いです。また、「高かったから」「もらいものだから」という理由で手放せない物も、役割を終えていることがあります。思いきりが必要なように感じるかもしれませんが、スペースは有限です。収納に悩んでいる時点で、「スペース」か「物」のどちらかを手放さなければ、状況は変わりません。

一度にすべて見直すのが難しい場合は、「引き出し一段」「棚一段」といった小さな単位から始めるのが続けるコツです。時間を区切って取り組むことで、疲れや後悔も減らせます。

ステップ2:決める——「定位置」というルールをつくる
物を絞り込んだら、次は「どこに置くか」を決めていきます。ここで意識したいのが、「使う場所の近くに、使う頻度に合わせて置く」というシンプルな原則です。

・毎日使うものは、ワンアクションで取れる場所に
・週に数回のものは、少し手を伸ばせば届く場所に
・年に数回のものは、高い棚や奥のスペースに

たとえば、よく使うバッグはクローゼットの奥ではなく、玄関近くにフックやかごを用意して定位置にする。毎日使うスキンケア用品は、洗面台の収納奥ではなく、手が届きやすい場所にトレーごとまとめる。こうした「使う場所のすぐそば」に置く工夫を徹底すると、自然と元に戻す習慣が身につきます。

同時に、家族全員が分かるようにする工夫も大切です。ラベルを貼る、カテゴリーごとにボックスを分けるなど、「見れば分かる」「開ければ分かる」仕組みを意識してみてください。

ステップ3:分ける——カテゴリとゾーンで迷わない収納に
定位置を決めたあとは、物の種類や用途ごとに「分ける」ことで、さらに散らかりにくくなります。ポイントは、「細かく分けすぎない」こと。大人も子どもも、一目で分かり、サッと戻せるレベルの分類を目指します。

例えば、次のようなイメージです。

・文房具:ペン、はさみ、のり、付箋などをひとまとめに
・書類:家計・学校・仕事など、大きなカテゴリでざっくり分ける
・おもちゃ:種類ではなく、「ブロック」「ぬいぐるみ」「乗り物」など、子どもが理解しやすい単位で分ける

また、収納スペースを「ゾーン」として考えることも役立ちます。リビングには「くつろぐゾーン」「仕事・勉強ゾーン」「子どもゾーン」といった役割を持たせ、それぞれに関連する物だけを置くようにすると、ものが迷子になりにくくなります。

分ける作業を進める際は、中身が見える透明のケースや、上からモノを出し入れしやすいバスケットなどを活用すると、自分にも家族にも分かりやすい収納になります。高価な収納グッズである必要はなく、サイズと使いやすさを優先して選ぶのがコツです。

この「減らす・決める・分ける」の3ステップを、家全体に一度で適用する必要はありません。最初は、よく使う場所や気になる場所から始めてみてください。部分的にでも仕組みが整うと、そのエリアだけは不思議と散らかりにくくなり、「片づく感覚」を体験できるはずです。

場所別に実践する収納術:リビング・キッチン・クローゼット・玄関

基本の考え方が分かったら、次は具体的な場所別の収納術に落とし込んでいきます。ここでは、多くの家庭で散らかりやすい代表的な4つの場所について、実践的なアイデアを紹介します。どれも、特別なテクニックを必要としないものばかりですので、自宅の環境に合わせてアレンジしながら試してみてください。

1. リビング:物が集まりやすい場所は「一時置き」と「定位置」をセットで考える
家族が集まるリビングは、どうしても物が集中しやすい空間です。すべてを「きっちりしまう」ことを目指すと、かえってストレスになり、長続きしません。そこで効果的なのが、あえて「一時置き」と「定位置」をセットでつくるという発想です。

例えば、次のような工夫が考えられます。

・ソファ横やテレビボードの下に、読みかけの本や雑誌を入れるバスケットを用意する
・リモコンやティッシュ、よく使う小物はトレーにまとめ、テーブルの上が散らからないようにする
・郵便物や学校からのお知らせを入れる「今日の書類トレー」と、「保管用ファイル」を用意し、週末などにまとめて仕分けする

ポイントは、「とりあえず置く場所」を用意したうえで、そこから「最終的な住所」に戻す流れを決めておくことです。行き場をなくしてテーブルや床に直接積み上がるのを防げますし、あとで仕分ける際もラクになります。

また、リビングには「モノを増やしすぎない」意識も重要です。飾りたいものは数を絞り、お気に入りだけを厳選して置くことで、視覚的な情報量が減り、空間全体がスッキリして見えます。

2. キッチン:作業動線と使用頻度を最優先する収納術
キッチンは、限られたスペースに多くの道具や食品を収納しなければならないため、工夫しがいのある場所です。ここでは特に、「よく使うものほど、出し入れしやすい位置に」という原則が効いてきます。

まずは、調理中の動きをイメージしながら、次のような点を見直してみましょう。

・コンロ周りには、よく使う調味料と調理道具だけを置く
・コンロ下やシンク下は、大きな鍋・フライパン・ボウルなどの「かさばるもの」を優先する
・使用頻度の低い家電や調理器具は、吊り戸棚の上段やパントリーの奥などに移動する

調味料や乾物、ストック食品などは、容器をそろえすぎると管理が難しくなる場合があります。ラベルをきちんと貼ることを前提に、詰め替えるものとそのまま使うものを分けると、手間をかけすぎずに見た目と使いやすさのバランスをとりやすくなります。

冷蔵庫収納では、「定位置」と「在庫量の目安」を決めておくと、食品ロスを減らせます。たとえば、「ここが空いたら買い足す」といったルールをつくり、同じ種類の食材は同じ段やボックスにまとめると、買い物の前にひと目で在庫を確認できるようになります。

3. クローゼット:選ぶ時間を減らすためのワードローブ収納術
クローゼットは、「着る服がない」と感じながら、実は服であふれているという状態に陥りやすい場所です。ここでも、まずは「今の自分が本当に着ているか」を基準に見直すことが大切です。

服を見直す際には、次のような手順で進めてみてください。

・今シーズンよく着ている服を先に取り出し、「お気に入りスペース」にかける
・残った服を、「たまに着る」「ここ1年着ていない」に分けていく
・「ここ1年着ていない」服のうち、サイズが合わない・似合わないと感じるものは手放す候補にする

収納方法としては、「かける」と「たたむ」を使い分けるのがポイントです。シワになりやすいシャツやワンピース、よく着るアウターはハンガーにかけ、Tシャツやニット、部屋着などは引き出しにたたんで収納します。同じカテゴリの服は色ごとに並べると、朝のコーディネートもスムーズになります。

また、小物類(ベルト、マフラー、バッグなど)は、アイテムごとに「見える収納」を意識すると、持っているものを把握しやすくなります。フックやラックを活用して、「しまい込まずに掛ける」ことで、取り出しや片づけの手間を減らしましょう。

4. 玄関:出かける・帰るをスムーズにする収納術
玄関は、家の「顔」であると同時に、出かける・帰るという行動の起点になる場所です。ここが散らかっていると、朝のバタバタや帰宅後の疲れが増幅してしまいます。

玄関収納で重視したいのは、次の2つです。

・靴の量を、下駄箱の収納量に合わせて見直す
・「外で使うもの」をひとまとめにしておくスペースをつくる

靴は、季節をまたいで履かないものや、傷みが激しいものから見直していきます。「よく履く靴」だけを玄関に残し、オフシーズンのものは別の場所に移して入れ替える方法も有効です。下駄箱の中は、棚板の高さを調整するだけでも収納力が変わりますので、ローファーやスニーカーなど高さの低い靴と、ブーツなど高さのある靴を分けて配置してみてください。

また、傘・レインコート・帽子・マスク・防犯グッズなど、「外出に関連するもの」を玄関近くに集約すると、出かける前の準備がスムーズになります。家族が鍵やパスケースを置くトレーやフックを用意すれば、「どこに置いたか分からない」というプチストレスも減らせます。

玄関はスペースが限られているため、「床に直置きしない」「腰から下の位置には物を増やしすぎない」といったルールをつくるだけでも、スッキリ感が大きく変わります。

ムリなく続く収納習慣のつくり方:リバウンドしないためのコツ

一度は整ったとしても、しばらくすると元通りになってしまう——収納術に「リバウンド」はつきものです。これを防ぐカギは、意志の強さよりも、「仕組み」と「習慣」にあります。ここでは、片づけが自然に続くようになるためのコツと、考え方のポイントを紹介します。

1. 完璧を目指さず「7割キレイ」をキープする
収納術に取り組むと、「すべての引き出しを完璧に整えたい」「無印風の統一感を出したい」といった欲が出てきがちです。しかし、日々の暮らしのなかでそれを維持するのは、かなりのエネルギーを必要とします。

そこで意識したいのが、「7割キレイ」を目標にするという発想です。見た目も機能も「そこそこ整っていればOK」と考えることで、自分を追い込まずに続けやすくなります。多少乱れてきたところがあっても、「週末に5分だけ整える」程度でリセットできる仕組みなら、長期的に見てはるかにラクです。

2. 「やる日」と「やらない日」を決めておく
収納や片づけは、「気になったときにやろう」と思っていると、疲れている日には後回しになり、そのまま先送りが続きがちです。そこで、スケジュールに組み込んでしまうのがおすすめです。

例えば、次のようなサイクルを試してみてください。

・平日は「片づけない」と割り切り、散らかりにくい仕組みだけに頼る
・週末に15〜30分だけ、「リセットタイム」を設ける
・月に1回だけ、「1か所だけ見直す日」をつくる(引き出し1段、棚の一部など)

「いつもキレイにしておかなければ」というプレッシャーを手放し、「この時間だけ頑張ればいい」と決めてしまうことで、精神的な負担が軽くなります。

3. 家族を巻き込むためのシンプルなルールづくり
一人暮らしならまだしも、家族がいる場合、収納術は自分だけの努力では完結しません。大切なのは、誰にでも分かるルールをつくることです。細かく指示する代わりに、「この箱は○○」「ここには△△だけ」といった、直感的に理解できる仕組みを整えます。

・ラベルを文字だけでなく、イラストや色でも識別できるようにする
・子どものおもちゃ箱は、「ざっくり分けてもOK」と伝える
・家族会議で「ここに何を置くか」を一緒に決める

ルールを一緒につくるプロセスは、家族の協力を得るうえでも効果的です。「ママのルール」ではなく、「わが家のルール」として共有することで、片づけが他人事ではなくなります。

4. 収納グッズは「最後」に選ぶ
収納術というと、まず収納グッズを探し始めてしまいがちですが、実はこれは逆効果になることが多いです。物の量や定位置のルールが決まっていない段階で収納グッズを増やすと、「モノをしまう器」が増えるだけで、根本的な解決にはつながりません。

収納グッズを選ぶタイミングは、「減らす・決める・分ける」がひと通り終わったあとです。そのうえで、必要なサイズと数を測り、具体的な用途をイメージしながら選びましょう。「何を入れるためのグッズか」が明確であれば、余計なものを買い足してしまうリスクも減らせます。

5. ときどき「リセット日」を設けて、暮らしと収納をアップデートする
生活スタイルは、仕事や家族構成、趣味などによって常に変化していきます。にもかかわらず、収納だけが数年前のままだと、どうしてもムダや不便が出てきます。そこで、年に数回は「リセット日」を設けるのがおすすめです。

・新年度や季節の変わり目に、「最近使っていないもの」を見直す
・子どもの成長に合わせて、おもちゃや学用品の配置を変える
・在宅ワークの有無に応じて、書類や文房具のゾーンを調整する

「一度整えれば終わり」ではなく、「暮らしに合わせて変えていく」意識を持つことで、収納はさらに自分たちの生活にフィットしていきます。そのたびに大掛かりな片づけをする必要はなく、気になる箇所を少しずつアップデートしていけば十分です。

まとめ:収納術は「暮らしをラクにする仕組みづくり」
ここまで、収納術の考え方から、具体的な場所別の工夫、リバウンドしにくい習慣づくりまでを一通り見てきました。どの段階でも共通しているのは、収納術とは単なる「しまい方のテクニック」ではなく、暮らしをラクにするための仕組みづくりだということです。

・片づかない原因を、「物量」「動線」「ルール」の3つから確認する
・「減らす → 決める → 分ける」の順番で進める
・リビング・キッチン・クローゼット・玄関など、場所ごとの特性に合わせて工夫する
・完璧を目指さず、「7割キレイ」を続けるための仕組みと習慣をつくる

この流れを意識すれば、どんな住まいでも、自分なりのベストな収納術が見えてきます。重要なのは、「理想の写真のような家」に近づけることではなく、「自分と家族にとって心地よい状態」をつくることです。

まずは、家の中でいちばん気になっている場所をひとつだけ選び、今日から「減らす・決める・分ける」を小さく始めてみてください。小さな成功体験を積み重ねることで、収納術は特別なスキルではなく、毎日の暮らしに自然となじむ習慣へと変わっていきます。

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